この曲にピン! ときたら…

 れだけは絶対に忘れられない「映画の主題歌」というものがあると思う。記憶に新しいところでは、現代のシチュエーション・スリラーの筆頭でもあり、最新作の ダーレン・リン・バウズマン監督による『ソウ4』(’07)に新曲の「I.V.」が起用されたことによって、待望の世界デビューへの切符を手にしたX JAPANが実に衝撃的だった(しかも結構カッコいい)。今では海外の音楽に対してもかなり造詣が深くなり、洋画を観ながらニヤリとさせられることも多くなった筆者だが、いまだにこの作品の主題歌がもたらした感動と興奮は塗り替えられていない。そう、ベタを承知で言おう。変態で鬼才でオタクな映画監督といえばこの方、クエンティン・タランティーノによる『ジャッキー・ブラウン』(’97)に起用された、ボビー・ウーマックが熱唱する「110番街交差点 」だ。





 ホントにね、こんなに素晴らしい楽曲にはなかなかお目にかかれないよ。ナールズ・バークレーの「クレイジー」なんて(名曲ですが)もう聴いていられない。イントロのファルセットからしてもう、悶絶必死。サム・クックの弟子だったとか、そんな枕詞は不要の破格のボーカリゼーションにはただただ感服で、数年前、都内の某古着屋で働いていたころに店内BGM用のMD(MDというのがミソ)ラックの中に、「60’s BLACK MOVIE」と記載された心躍る1枚が混在していたのだが、そのMDの2曲目に本作が収録されていたりなんかしちゃったもんだから、時間を見計らっては MDを挿入して、爆音でフロアに流しまくっていたのは良い思い出です。まあ、映画の内容自体には後日改めて触れるとして、とにかく斬新で印象的だったのが、まったく同じ楽曲だというのに、映画のオープニング時とエンディング時で聞こえ方がまるで違うということ。前者では疾走感が溢れていてひたすら気持ちを昂らせてくれるのに、後者では、少しビターな映画のラストに加味された喪失感が漂う。つまり、パム・グリアー演じる主人公の心境の変化に伴って、楽曲までも変化して聞こえるという、タラちゃんマジックかくありなん! と叫ばずにはいられない、“音楽の魔法”を感じさせてくれる1曲、いや、逸曲なのだ。うーん、書いていたらまた観たくなってきたぞ。どなたか、『ジャッキー・ブラウン』のサントラが安く売ってる所があったら、教えてくださーい。 

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