RUSSSSSSSH

 は、原宿で1日に2回ぐらいストリート・スナップで声をかけられたこともあったというのに、ファッ ションに対 する情熱の天秤がすべて音楽に傾いてからというもの、すっかり昨今の洋服事情に疎くなってしまったエカ・スリマンです。そろそろ“オシャ連”からも除名さ れそうで戦々恐々としてます。

そんな僕ですが、久方ぶりに女性ファッション誌を購入してみました。オーストラリア生まれの「RUSSH」 が満を持して創刊した「ラッシュ・ジャパン」。なにしろ、創刊号は取っておいてソンしないですからね。べ、べつに付録のX-girlスペシャル・ミラーが 欲しかったからじゃないもんね!



す でに一定のファン・ベースを獲得している「デイズド&コンフーズド・ジャパン」や「ナイロン・マガジン」に比べるとカルチャー要素は薄めで、新進気鋭の若 いファッション・モデルたちの等身大のスタイルに焦点を当てた構成。各メゾンからの掲載許可がまだ降りないのかどうかは知らないが、扱ってるブランドはわ りとモードとチープの中間クラスといった塩梅。広告含め、一切日本人の写真が使われていないところ(唯一顔が出てたのはスティーブ青木くらいか?)には強 い拘りと一貫性を感じました。まあ、蛇足のエンタメ・コーナーでキャット・パワーの新作を「2作目」と書いてしまったあたりはツメが甘いですが。本国での 信頼度はどうなんだろう?

それにしても、“aggy”ことアギネス・ディーンってそんなに 可愛いか? まったくピンとこないんですが……(僕がロングヘアー命だからという指摘はさておき)。また、「ラッシュが選んだおしゃれモデル選手権!」に 登場している90人のモデルの中では、やはりirina(イリナ)がずば抜けてますね。NYのファッション・ウィークだからValentine Fillol-Cordier(ヴァレンタイン・フィロル・コーディー)さんが載っていないのが残念。



あと、表紙に抜擢されているCory Kennedy(コリー・ケネディー)ってまだ18歳なんですね。すげえ老け顔だからビックリ。でも、19ページで着ているソニック・ユースのTシャツと、125ページで着ているイアン・カーティス(ちなみに、ノム・デ・ゲールというブランドです)のTシャツ、どっちもまったく同じ物を僕も所有しているので、かなり親近感。もちろん、イアンTシャツは映画『コントロール』を鑑賞の際はここぞとばかりに着用するつもり。

 あまりにも顕著な創刊・休刊・廃刊のサイクルに、ハイ・クオリティーなフリーペーパーやウェブ・マガジンの猛威、インターネット普及およびブログの隆盛によって相次ぐ大型書店の閉店や規模縮小…。今や雑誌業界は大きな岐路に立たされており(「ケータイ小説」を念頭に置くと、文学界すらも脅かされている)、まさに弱肉強食の様相。これからは、本当に価値と中身とアイデアのある雑誌しか生き残れないでしょうね。情報の量とスピードじゃネットには到底勝ち目ないから。だからこそ、雑誌づくりの要であるエディターやライターは勿論、スタイリストやカメラマンにヘアメイク、モデルやデザイナーなど、それぞれの道の“プロ”の真価が問われる時代なんだと思います。僕なんかはすべての知識を雑誌で学んできたと言っても過言ではないし、やっぱり“紙媒体”が大好きな人間なんで、素人や個人の領域では絶対につくれない、最高のコンテンツに期待したいもんです。